今日は無線LANで5GHz接続を優先させる設定について、アクセスポイント側とデバイス側の両方から試してみたいと思います。
少し長くなりますが無線LANの周波数とSSIDについて説明を少し。
ひと昔前はWi-Fiの5GHzと2.4GHzのSSIDを明示的に別にすることで、利用者側が接続先を選択することが一般的でした。Wi-Fiルータの出荷時設定も[SSID_a]、[SSID_b]と2つ設定されていることが多かったと思います。
しかしながらここ2〜3年で5GHzと2.4GHzとも「SSIDは同じにする」流れが一般的になってきました。そう言えば我が家で最近買った家庭用ルータも最初からSSIDは統一されていました。
では、5GHzと2.4GHzの接続をどう使い分けるの?と言う話です。
最近は無線が「Wi-Fiルータ+中継機の構成・複数アクセスポイントによるメッシュ構成」で構築されるようになり、どこでもWi-Fiに繋がる環境が普通です。PCやスマホも賢くなり2.4GHzだろうが5GHzだろうが、常に質の良い電波を掴む「ローミング機能」が働くようになりました。こうなると利用者が接続先を切り替える方が接続トラブル(クレーム)の元、敢えてSSIDを分けて管理する必要がないのです。
2.4Ghzと5Ghzの違いや特性は↓を参考にどうぞ。
で本題のSSIDが同じ環境で「5GHzと2.4GHzのどちらを優先させるか」の話に戻ります。通常は5GHzの安定して届くエリアであれば、電波障害の少ない5GHzを優先するのが一般的です。
では明示的に5Ghzを優先して接続させる設定をWi-Fiアクセスポイント・デバイスの両方で調べてみました。
Wi-Fiアクセスポイントで5GHz帯を優先させる設定
Wi-Fiルータ、Wi-Fiアクセスポイントに「バンドステアリング」機能が搭載されているものがあります。
バンドステアリング機能
ヤマハの法人向けWi-Fiアクセスポイントの技術資料に解説がありますが「5GHz帯に接続するよう誘導」と記載があります。
本機能は、2.4GHz帯に接続されている無線端末を5GHz帯に接続するよう誘導する機能です。
YAMAHA ーWLX313技術資料 ーハンドステアリング機能
2.4GHzと5GHzの両周波数帯に対応している無線端末にとって、基本的には5GHzのほうが有利な通信環境だと考えられます。本機能は、このような端末が2.4GHz帯に接続されていたときに、5GHz帯に接続するよう誘導します。
メーカーによっては「5GHzに誘導」では無く「混雑していない周波数帯へ振り分け」となっている場合もあるのでご注意ください。
定期的に本商品の周囲の電波強度や対応帯域を判別し、2.4GHz帯と5GHz帯の混雑していない周波数帯へ自動で振り分ける機能です。
NEC ーAterm WG2600HP2 ーユーザーズマニュアル ーバンドステアリング機能を使う
ちなみに我が家の自宅のTP-LInkにはバンドステアリング機能は無かったです。
一般的ではありませんが「CiscoのワイヤレスLANコントローラー」と「Meraki」にも設定がありました。法人向け製品では大概付いてるはずです。
Cisco ワイヤレスLANコントローラー バンドステアリング機能
詳細は割愛しますが「Client Band Select」が5GHz帯へ誘導する機能です。
実際に設定してみましたが、全デバイスが5GHzに移動しなかったので、ちゃんとやろうと思ったら細かい調整が必要そうです。
Cisco Meraki バンドステアリング機能
Merakiにも「バンドステアリング」機能がありました。ただどの程度働くか検証できていません。
こんな感じで5GHzを優先させる「バンドステアリング」機能を有しているWi-Fiアクセスポイントがありますので、お使いの機器の機能を調べてみてください。
デバイス側で5GHz帯を優先させる設定
では次にデバイス側で5GHzを優先接続させることができるか調べてみます。
Windowsで5GHz接続を優先させる設定
Windowsはどちらが優先するかはワイヤレスアダプタのドライバで制御できます。(モデルによる)
表記は「Preferred Band」または「優先バンド」となっています。
実際に設定してみたところ5GHzの電波が届くエリアに居るときは、ほぼ5GHzで繋がるようになりました。(むしろ5GHzの電波が相当悪くても、なかなか2.4GHzに切り替わらないぐらいでした)
macOS/iPhoneで5GHz接続を優先させる設定
macOS/iPhoneのデバイス側では明示的に5GHz接続を優先させる設定は存在しません。細かい条件はありますが、デフォルトで5GHzが優先されるように設計されています。
macOS では、デフォルトでは常に 2.4 GHz 帯よりも 5 GHz 帯が優先的に使われますが、5 GHz ネットワークの RSSI が -68 dBm を上回っていることが前提となります。
macOS のワイヤレスローミング (法人のお客様向け)
ちなみにmacOSで5GHzで接続されているか確認する場合は、Wi-Fiマークを[option]キーを押しながら展開すると確認できます。
chromebook / Android は?
ゴメンナサイ。ヨクワカリマセンデシタ。
また時間ができたら調べて追記します。
バンドステアリングのデメリット
バンドステアリングのデメリットはあまり無いと思います。
法人向けに複数のアクセスポイントを設置、広範囲のエリアをカバーしなければいけない環境では「5GHz帯に誘導するバンドステアリング機能」が働けば有効に使えると思います。
家庭向けWI-Fiアクセスポイントで「空いている帯域に誘導するバンドステアリング機能」の場合、5GHzを使いたいのに2.4GHzに誘導されてしまうことがあるかもしれないので、5GHzで家庭内がカバーできている環境では敢えて機能を有効化する必要はありません。
ただしWi-Fi接続が不安定な場合は、アクセスポイントとデバイスの両方から「5GHz帯へ誘導する」方向に持っていくと良いかも知れません。また切り分けが難しい場合は思い切って「2.4GHzを停止して5GHzのみ」の運用を試すのも手かと思います。
コメント