最近、Wi-Fi接続用のQRコードラベルを見かけるようになりました。iPhone/iPad/Android端末はWi-Fi設定を埋め込んだQRコードをカメラで読み込むだけで、無線設定が完了する機能が標準でついています。
SSID,パスワードを入力するとQRコードを作成してくれるWEBサイトもありますが、実はWord、Excelだけで簡単に作成することも可能です。
エンジニア的には「ユーザの拠点別・用途別のWi-Fi設定QRコードをドキュメントに差込印刷する」なんて方法で活用できます。Webだと画像ファイルをいちいちコピペしないといけないので、Word、Excelでバーコードを使える技を知っておくと便利ですよー。
Wi-Fi設定を埋め込む仕組み
実は結構シンプルな仕組みで、テキストの平文をQRコード可しているだけ。
:(コロン)と;(セミコロン)が多いので少し見にくいですが、Sの後に「SSID」、Tの後に「セキュリティ方式」、Pの後に「パスワード」の文字列を入れます。
仮にSSID「hogehoge」、セキュリティ方式「WPA2」、パスワード「password」でサンプルを作ってみると、こんな↓感じになります。
WIFI:S:hogehoge;T:WPA;P:password;;
一般的なWPA2方式でも「WPA」でOKです。新しいWPA3は試せていませんが多分同じです。
最後はセミコロン;;が2つ付きますのでご注意ください。
では、ExceでQRコードにしてみましょう。
イメージ付きやすいようにExcelのサンプルファイル(ZIP圧縮)を置いておきます。
ExcelでWi-Fi設定をQRコード化
1点これには制約がありWindowsのみ利用可能です。内部でAccessコントールを使っているためMacは非対応です。(Accessは無くてもOK)
作業環境 Windows10・Microsoft365の環境で作業しています。Office2016、2019でも可能です
Excel準備|開発タブを表示する
QRコードを作成する前にデフォルトで隠れている「開発」タブを画面に表示させましょう。
- [メニューバー]の[ファイル]から[オプション]を選択
- [リボンのユーザー設定]の右側[開発]をチェックしOK
これで[開発]タブが出てきました。
Excel実践①|バーコードを表示する
- [開発]タブの[挿入]ボタンから[ActiveXコントロール]の[コントロールの選択]をクリック
- [コントロールの選択]から[Microsoft BarCode Control 16.0]を選択してOK
※Microsoft BarCode Control 16.0が非表示の場合は、「Microsoft Access 2016 Runtime」をインストールします。https://www.microsoft.com/ja-jp/download/details.aspx?id=50040
- 画面にバーコードが出てきました。でもJANコードのサンプル値ですね。
次にデザインをQRコードに変更し、値を指定しましょう。
Excel実践②|バーコードをQRコードに変更する
- 先程のJANコードを右クリックし、[Microsoft BarCode Control 16.0オブジェクト]のプロパティを選択
- プロパティのスタイルを「QRコード」に変更
- QRコードに変更できました。でも値がSampleとなって紐づいていません。
開発タブの[デザインモード]ボタンを押すとマウスで選択、移動ができるようになります。
次にQRコードとセルの値を紐付けます。
Excel実践③|QRコードにセルの値を紐付ける
- QRコードを右クリックして[プロパティ]を選択
- [LinkedCell]欄にセル番号を入力します
サンプルファイルの場合は『A9』のセルにWi-Fi設定の平文が入っていますね。
可変にせず固定のQRを作りたい場合は、[value]欄に直接Wi-Fi設定を入力すだけでもOKです。
Excel検証|セル値を変更したらQRコードが変化するか
↑のサンプルではA9セルの値をQRコードと紐付けていますが、A9のセルは6行目の値と連動するように作っています。6行目のSSIDとパスワードを変更して見ます。
- 変更前
- 変更後
どうでしょう。微妙にQRコードの白黒が入れ替わっていますね。これで値を変更することで複数のQRコードを生成できます。
WordでQRコードを挿入し差し込み印刷する
ではドキュメントに埋め込む方法として、WordにQRコードを差込印刷してみます。
実はExcelより簡単です。※差し込み印刷に手順は割愛
例えば、社内用とゲスト用で複数のSSIDを使っている場合、ユーザ企業で拠点ごとでSSIDを使い分けている場合がありますよね。ドキュメントにQRコードを含めようと思ったら、Wordの差し込み印刷を使うと便利です。
Word準備|Wi-Fi設定の一覧を作成する
下↓のようなサンプルファイルを作ってみました。
Word実践|WordにQRコードを差し込みする
宛先として先程のExcelファイルを指定し、Wordで「バーコードフィールドの挿入」をします。
Execel 3列目を[フィールド]に指定し、[QRコード]を選択します。
WordにQRコードが表示できました。(文章が出てきた場合は[結果のプレビュー]をボタンを押します)
差込印刷の2ページ目に切り替えてみました。QRコードが切り替わります。
これでWordの差し込み印刷が完了です。
実際にiPhoneで接続を試してみる
今回は試しに自宅のWi-Fi設定をラベル印刷し、無線ルータに貼ってみました。
ではiPhoneのカメラでQRコードをスキャンしてみます。
QRコードをフォーカスするだけで認識してくれました。あとは画面上部の通知をタップして[接続]するだけでWi-Fiに繋がるようになります。
1個だけQRコード作るだけならWebのサービスを使えばできますが、複数のコードをまとめて作ったりドキュメントに挿入したい場合はWord,Excelを使うと簡単にQRコードが作成できます!
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